奇跡

ずっと気になっていた


彼の誕生日


プレゼントはいらないと

言われていたけど


やっぱり何かあげたい



先週水曜日

出先から彼の職場の最寄駅へ


ほんとは身に付けるものを

できたらお揃いのものを

買いたかったけど


ちょっと高価な

シェービングジェルを選んだ

これなら残らないものだし

たぶん使ってくれるだろう



ダメもとで

彼にLINE


“もし時間あったら

仕事帰りちょっと会えないかな?”


きっと

断られるだろうな…


すると


“3秒だけね”と

返信



3秒でもいい


会ってくれるなら



指定された場所まで

足早に人混みを駆け抜ける



彼は

先に来ていた



1ヶ月ぶりに会う彼


少しふっくらしてる?


私もだけど…



近くのベンチに

彼が腰かけて


私も隣に座る


私達の間は

人が2人座れるくらいに

離れてる


プレゼントを渡すと

‘もーっ いいのにー’と

言いながらも

嬉しそうに受け取ってくれた




もう3秒以上たったけど…



彼は帰る気配がなくて


私はもちろん帰る気はなくて



私達は少し離れて

ベンチに座ったまま


気づけば

1時間も話をしていた


すると彼が

‘このまま飲みに行っちゃおうか!’


初めて…

彼の方から

誘ってくれた


でも

急な誘いには

こたえられない



‘今日はダメだけど…

飲みに行きたい!’



彼の気が

変わらないうちに



‘昼間でもいいよ’と

ふってみる



8月も

お互いの休みは合わない



結局

次に会える日は

決まらなかった



でも

1時間も話せたし


彼から

飲みのお誘いをしてくれたし


それだけでも嬉しい



その日の夜

私達は久しぶりに

夜中の3時頃まで

LINEでも話をした




私と会ってくれたこと


プレゼントを受け取ってくれたこと


飲みのお誘いをしてくれたこと


夜中までLINEをしてくれたこと


大袈裟かもしれないけど


私にとっては

その前日までは

想像もしていなかった


奇跡的なこと



彼と最後に会ってから

約1ヶ月


いつもなら

2週間もすると

私は

‘会いたいな…’と言い

彼は

‘ダメーーーー’とこたえていた


今回は

1か月間

会いたいと

一言も言わなかった


それがよかったのかな



少しだけ

自信がでてきた



少しだけ

彼が

私のことを

考えてくれてることが

わかったから